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最新作『ゴーン・ガール』が大ヒット上映中のデヴィッド・フィンチャーの映画をおさらいしておこう!そんなに数は多くないぞ!
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エイリアン3 Alien3 (1992年)
デヴィッド・フィンチャーは『エイリアン3』で長編映画監督デビューする。まさかの人気シリーズ最新作。しかし新人監督にこの映画は厳しかった。会社の口出しによりストーリーすら二転三転した挙句に、出演者たちとのトラブルも絶えない最悪の現場になった。観客は動員したものの、映画の内容のほうはきわめて評判のよろしくないものになっている。
実際に観た人にとってはこれが『エイリアン2』の何倍もの制作費をかけた映画とは思えないかもしれない。たとえば、前作の出演者にもかかわらず今作ではいきなり死んだことにされてしまったヒックス役のマイケル・ビーンなどは、ちょっとダミーの人形を使うというだけで、前作よりも多額のギャラを貰っていた。ヒットが確約された映画にみんなが群がりシッチャカメッチャカした挙句、制作費のほとんどは無駄なところへ消えてしまったようだ。
『エイリアン3』のひどい体験のせいで、デヴィッド・フィンチャーはもう映画なんか撮りたくないという気分になる。危うく有望な新人監督が潰されてしまうところだったのだ。
セブン Seven (1995年)
デヴィッド・フィンチャーの名を一躍世に知らしめた作品。七つの大罪をテーマにした連続猟奇殺人を追う刑事を演ずるのはブラッド・ピット。タイトルデザイン職人のカイル・クーパーの制作したオープニングも衝撃的だった。当時みんな真似しまくったし、ホラーやサスペンス系の映画を見に行くとたいていカイル・クーパーのオープニングが採用されているという事態に。
この一作をもって「フィンチャーといえばミステリー!」という印象を強烈に植えつけた。暗いエンディングも今じゃ珍しくないけど、当時のハリウッドのメジャー系映画ではまさかの展開で、映画館で「は…?」となったのも良い思い出。今思えば70年代以来のバッドエンドの流行を牽引したのも『セブン』だったのかも。
とにかく暗い雰囲気のホラーテイストのサスペンス・ミステリーなのが最高で、冒頭に出てくるスパゲティを食べ過ぎて死んだ大柄の死体を、『ハウリング』『遊星からの物体X』『ザ・グリード』の特殊メイクアーティストの大御所ロブ・ボッティンが制作していたのも胸熱だった。
ゲーム The Game (1997年)
「とんでもない凄いゲームです」という謳い文句にとあるゲームに招待された大富豪が、とても現実とは思えない様々なトラブルに見舞われて絶体絶命になるが……でもゲームでしょ!?というタイトルネタバレ作品といってしまえばそれまでなのだけど、それにとどまらない不思議な魅力を備えた作品だ。でもはっきりいって何がどう面白いのか説明が難しい。今度見返してみる。
『セブン』の次がこの『ゲーム』だったこともあって「フィンチャーといえばミステリー!」という印象はより強まった感がある。
ファイト・クラブ Fight Club (1999年)
はじめての原作もの。日本では知られていなかった小説家チャック・パラニュークのカルト小説をかなり忠実に映像化している。『セブン』で組んだブラッド・ピット再び。ほとんど主役といってもよいタイラー・ダーデン役で登場。
エドワード・ノートン演じるエリート営業マンが出張から帰ってくると高級マンションの部屋が爆破されていて、たまたま知り合ったタイラー・ダーデンと名乗る人物の家に転がり込むことに。タイラーの提案で飲み屋の前で喧嘩ごっこを始めたところ次々と参加者が集まってくる。二人は共同生活を始めるが、タイラーは恐ろしいカリスマを発揮して喧嘩クラブ(ファイトクラブ)を母体にテロ組織を作り上げていく。はたしてタイラーとは何者なのか。
というミステリー仕立ての話。フィンチャーには、やはりミステリーがよく似合う。ブラッド・ピット=タイラー・ダーデンのイメージを持っている人も多い。それくらい強烈なはまり役。あまりにも強烈なメッセージ性に満ちていてついつい何度も見てしまう中毒性がある。もちろんそのメッセージは原作にあるものを映画化しているだけなのだけど。おかげで翻訳されたパラニュークの小説はすべて読んでしまった。しかし何故かいちばん売れそうな『ファイトクラブ』の原作小説はさっさと絶版になっていてブックオフを探しまわったものだ。権利料か何かの問題かもしれない。いまふとマーケットプレイスをのぞいたら2500円以上の値段がついていた。僕は当時105円で何冊も買った。わはは。
パニック・ルーム Panic Room (2002年)
ジョディ・フォスターが主演のミステリーというかサスペンス寄りの作品。まあ、まあ……、面白かったと思う。こんなん作るんやな、と思った。
ゾディアック Zodiac (2007年)
で、出たーー!『ゾディアック』!!フィンチャー映画の中で『ファイトクラブ』と同じかそれ以上好きかもしれない作品。もちろんこれはバリバリのミステリー。なんたって「ミステリーのフィンチャー」ですのでね。
ゾディアック事件とはアメリカで起きた実在の連続殺人事件。それを元にしたロバート・グレイスミスのノンフィクション小説などを原作にした映画化。ゾディアック事件に取り憑かれて人生を狂わせていく新聞社の漫画家ロバート・グレイスミス(ジェイク・ジレンホール)を主人公として1960年代から現代にかけての事件の変遷を追う。
ゾディアック事件そのものが未解決なので映画で犯人が捕まったりするのは期待出来ない。日本でいえばグリコ・森永事件や三億円事件や世田谷一家殺害事件などのムーブメントになった事件の真相を追いますといったようなものか。
本作の魅力といえばダラダラダラダラと映画の終わる158分もの長尺で推理が続くこと。結論のでない事柄をあーでもねーこーでもねーとこねくり回す楽しさに満ち溢れている。あまりにもこねくり回しすぎて何が本当で何が嘘かわかんなくなってきて、見るもの聞くものすべて怪しく思えてくる迷宮っぷりが良い。推理マニアみたいな人にはたまらない映画。そして怪談マニアにも受けると思う。いくら推測しても結論なんか出ないという点では、怪談も未解決事件も変らない。怪談と推理の両方が好きな僕にとっては最高の作品だ。何も無い時はこの映画をひたすらエンドレスで流してみてたりする。
あ、そうそう。ロバート・ダウニーJrが得意のアル中の役で出ているのも忘れてはいけない。ゾディアックキラーに脅迫される新聞記者というかなり重要な役だ。
ちなみにこの作品は、殺人シーンがものすごく怖い。『セブン』みたいな派手なギミックは微塵もなくて、淡々と人が殺される様を写しているのが余計にショックを煽る。『悪魔のいけにえ』の最初の殺人シーンを思い出してしまう。あの映画も血しぶきなんかちっとも出ないのに大層怖いと評判になった。
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 The Curious Case of Benjamin Button (2008年)
また原作もの。そして三度目のブラッド・ピット。『華麗なるギャツビー』のフィッツジェラルドの短編小説『ベンジャミン・バトン』を元にした映画。原作は好きだけど映画は見ていない。ごめんなさい。ちなみに『華麗なるギャツビー』の映画版も見ていない。何度も何度も読んだ小説の映画版とか怖くて観れない。先に読んでしまった者の運命だ。
ソーシャル・ネットワーク The Social Network (2010年)
Facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグについて書かれたノンフィクションと同時進行で撮影された映画。しかし、実在の人物を勝手に映画化して良いものなんだろうか。なんらかの許可をとってるのだろうか。そのへん誰も教えてくれない。本当よくわからない。ひょっとしたらFacebookの壮大なプロモーションの一貫なのかもしれない。どこまでが映画でどこまでが現実かわからない。ただ言えるのは、見たら強烈に金儲けがしたくなる映画ではある。自分にはそんな能力ないけど。
まあ、面白かった。でも「ミステリーのフィンチャー」なのでミステリーを撮って欲しい。
ドラゴン・タトゥーの女 The Girl with the Dragon Tattoo (2011年)
スウェーデンでキチガイみたいに売れて全世界でもバカ売れして日本でも売れてブックオフで108円で山積みの推理小説『ミレニアムシリーズ』の第一作目を映画化したもの。
世界でそれほど売れた推理小説がどんなのかと興味津津で見てみればスウェーデン版金田一耕助シリーズ。『獄門島』とか『本陣殺人事件』みたいな話だった。最高。やはり「ミステリーのフィンチャー」やで!
肝心のドラゴン・タトゥーの女はラノベの主人公みたいなスーパーハッカーだった。それだけ横溝正史っぽくない。いや、横溝正史も『髑髏検校』のようなラノベを書いてるからこれでいいのだ!
映画を観た後で原作小説を読もうと思っていたが忘れてしまっていたのでどれほど忠実なのかはわからない。
ゴーン・ガール Gone Girl (2014年)
ぜひラジオを聞いて下さい。「ミステリーのフィンチャー」!
side:B
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