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山版『オープンウォーター』が登場していた!TSUTAYAで!
『オープンウォーター』という映画を覚えているだろうか。2003年のアメリカ映画だ。史上最強に怖い海洋ホラー映画と言われている作品だ。かつ、もっとも予算をかけていない海洋映画でもある。内容はこうだ。ある夫婦がオーストラリアでスキューバダイビングを楽しんでいる。しかし船は2人を忘れて帰ってしまう。海のど真ん中にたった2人で取り残された2人は……。もうこれだけで怖い。サメの絵なんかデカデカと描かれているけれど、実際サメなんかほとんど出てこなくたって海の真ん中に放り出されるというシチュエーションだけで怖い。そして寂しい。とてつもない孤独を描いた映画でもあることがわかってもらえると思う。海洋のど真ん中に放り出される寂しさに比べたら、とっとと巨大サメに襲われて半分にされる方がマシだというくらい気持ちにさせる。いや、もちろん、巨大サメにあっというまに半分にされるのも怖いけど。けれど、『ジョーズ』も怖かったが、『オープンウォーター』はそれの数段上を行く工夫のある映画だったといえる。しかも実話をもとにした映画というところがより恐怖感を出していた。ポスターの端っこに「実話を元にした恐怖のストーリー」なんて一文をちょっと入れるだけで、映画への集中度が最低でも200パーセントは変わってくるから不思議なもんである。しかし実際に『オープンウォーター』は怖かった。
1975年の『ジョーズ』のヒットを受けて、『ジョーズ』の山版ということで1976年に制作されたのが『グリズリー』である。内容はこうだ。森の中にどでかい灰色熊が現れて、女性とか、子供とかに襲いかかって半分にしたりする。そして最後は退治される。どこからどうみても『ジョーズ』の山版である。「『ジョーズ』の山版を作れ!」と言われて作ったらまんまとそうなりましたみたいな。これはこれでけっこう意義のある映画だったかと思う。わりと面白かったし、それなりにヒットした。企画者はしめしめという感じだ。これを監督したのは『マニトウ』などで有名?なウイリアム・ガードラー。ちなみに『マニトウ』も、「『エクソシスト』みたいな映画を作れ!」と言われて作った「『エクソシスト』みたいな映画」だった。といっても内容は相当ぶっ飛んでいたと思う。この例をみても、本歌取りというのは、安易といえば安易だけど、やってみるとそれなりに意義があるもんだなあと。
話がずいぶんとそれた。『ジョーズ』が開拓したサメの恐怖を、数十年ぶりに新たな切り口で塗り替えたのが『オープンウォーター』だった。そして『ジョーズ』を山版というかクマ版にしたのが『グリズリー』。とすると『オープンウォーター』にも山版というかクマ版がなければならない理屈だ。(どんな理屈だ)
しかし世の中はよくしたもので、ちゃんとDVDでリリースされていたのだ。『オープンウォーター』のクマ版が。
その名も『ブラックフット クマ地獄』!!!
『ブラックフット クマ地獄』!!!
『レッドウォーター サメ地獄』ではないのでくれぐれも注意して欲しい。
『ブラックフット クマ地獄』は2014年のカナダ映画だ。もちろん実話を元にしたストーリー。舞台はカナダの自然公園。カナダの自然公園なんていうと、それだけで北海道何個分とかいう広大な森だったりする。そんなところで、よりにもよって道に迷ってしまうバカップル!はっきりいってその恐怖たるや、大海洋で置き去りにされるに等しいと言い切れる。そして…森のなかでクマに襲われる!
絶望に絶望を上書きしてバックスペースでぜんぶ消して右クリックで「元に戻す」ってやったような途方も無い恐怖が2人に襲いかかる。はっきりいってこれを「クマ地獄」と言わずしてどうする?
『オープンウォーター』がほとんどサメの姿を描かずしてサメの恐怖とか死の恐怖を煽っていたことからも推測できるように、この映画でも描かれるのはカナダの雄大な自然であってクマというのはほとんど出てこないかもしれないけど、それをもってこの映画が「クマ地獄」として失敗かというとそんなことはあり得ない。もしこの映画が失敗してるとしたら、森に迷ったバカップルの恐怖を演出しきれていない場合だけである。しかしこの映画は前述のとおり『オープンウォーター』の方程式にのっとって、森に迷う孤独感を十分に描き切っているのである。
だったら…合格だろ!?
僕は太鼓判を押したいが『ブラックフット クマ地獄』が森版『オープンウォーター』みたいな映画という紹介は2000パーセント正しい。もし『ジョーズ』が嫌いで『オープンウォーター』が嫌いな人は見ないで欲しいくらいだ。きっとがっかりする。あと、『オープンウォーター2』が嫌いな人も観ないで欲しい。『オープンウォーター2』の悲しさがわからない人は『ブラックフット クマ地獄』の情緒もわからないかもしれないから…。
エンディングの妙な美しさも特筆すべきものがある。そしてこの映画は実話を元にして作られているのである。きっと誰かが、カナダの山の中で、クマに襲われるという事件があったのだと思う。詳しい解説はどこにも無かったけれど。
海や山は怖い。なめてかかるととんでもないことになるのである。
これがオリジナルのポスターで、女の人が落ちかけていてクマさんが咆哮しているというサバイバルな図案である。
タイトルの『back country』というのは(秘境)みたいな意味合いだ。なるほど山で迷う映画だからわかりやすい。
日本版のパッケージだと『ブラックフット』に改題されているのは良いとしても、彼氏がクマの下敷きになっている!!!しかもクマが心なしかやたら巨大化してもはや怪物!!!?
そして「樹海で起きた衝撃の実話。」という殺し文句が。『オープンウォーター』の煽り文句の「海に伝わる最も怖い実話。」と同様に、きっちり「。」を入れて終わっているところにリスペクトがあって素晴らしい。
「クマに真っ先に殺されるのは彼氏や!」というネタバレ感も気にならない。だって「実話の映画化」なんだし。
そして問題のTSUTAYAレンタル板はこれ!
まるで『ゾンビ』かのような血なまぐさい字体で「クマ地獄」というタイトルが追加されている!!!!
どこまで盛れば気が済むの!!!!!?
ここまでされたら借りずにはいられないでしょ。さすがTSUTAYAである。
ひたすら山道で迷う映画の話!?
side:A
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