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『エクソダス:神と王』を楽しく観るための7つの前知識

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『エクソダス:神と王』を楽しく観るための7つの前知識

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『エクソダス:神と王』公式サイト

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リドリー・スコット最新作は旧約聖書を原作とした史劇大作

『エイリアン』『グラディエーター』『ブラックホークダウン』『プロメテウス』のリドリー・スコット最新作は旧約聖書の『出エジプト記』の映画化。

とはいえ、この映画は、チャールトン・ヘストン主演の『十戒』(56)を多分に意識した内容になっている。ファラオであるラムセスと、預言者モーゼという、二人の物語として進行していく点などがそうだ。

ただし『十戒』とは、原作に対するアプローチが相当に違っている。その辺は映画を実際に見てもらえばよいわけだが、なにしろ日本人にはあまり馴染みがないかもしれない聖書の話なのでわかりにくいところも多い。

聖書は世界的なベストセラーでもあるので、こういう映画は聖書を知っている前提で作られている。知ってから見たほうがよい予備知識をいくつかここで紹介しておきたい。これを読んでから映画を見れば「そんなもんか」とわかっていただけると思う。本当は『創世記』と『出エジプト記』を読んでおくのが一番だけど。

ラムセス2世

『十戒』や『エクソダス:神と王』の中では、モーセと対立するのは、歴史上で偉大なファラオとされる、ラムセス2世だとしているが、聖書の原作においては単に「ファラオ(パロ)」とだけ出てくるので、それがラムセス2世を指しているかはわからない。

ラムセス2世のミイラは、今でも保存されている。身長を調べたら183センチもある大柄だった。これほどの大柄だったので、武勇に優れ強弓を引き戦で無双した。そして政治力もあったのでエジプトは大いに栄えた。90歳まで生きたらしい。

原作では海に飲まれて死んだみたいに描かれているし、エジプトは数々の災難を被って滅びそうになっているので、同一人物とする説はちょっと無理があるようだ。便宜上ラムセス2世という名前を借りて、映画のキャラとして使っているだけと考えるほうが良さそうだ。ラムセス2世には、111人も子供がいたと伝えられている。

エジプトではこの映画が上映禁止になっているが、今でも尊敬を集めているラムセス2世を、まるでパワー系池沼みたいに描いたのがまずかったようだ。旧約聖書の話のなかでは、エジプトは完全に悪役だししょうがない。しかしエジプトではイスラム教を国教としていて、イスラムは旧約聖書を尊重する立場であり、モーゼ側に立ってるはずだけど…。そのへんエジプトでは、普段からどう折り合いをつけているのか気になるところではあるが。

モーゼ

映画のモーゼはクリスチャン・ベールが演じていて、壮健な男として描かれているが、原作ではエジプトを脱出したのが80歳のとき。映画では年齢設定はよくわからない。その後、約束の地を探して40年間も彷徨って、残念にも到着前に亡くなった。つまり120歳生きた。アブラハムとかは175歳も生きた。ノアにいたっては950歳まで生きた。こうしたことを知っていると、映画の中で奴隷総督が「ヘブライ人は長生きだから増えすぎて困る」と言っていたことにいちいち頷ける。

神と格闘する者

ヤコブが川にいたときに、神様が相撲を仕掛けてくる。一進一退の攻防の末に、なんとヤコブは神様に勝利する。そして神様から「お前は神様と格闘して勝利した者という意味のイスラエルと名乗るが良い」と言われた。イスラエルという国の由来はそれである。「イスラエル(=ヘブライ人)」という単語が、「神と格闘する者」という意味だと劇中で説明されているのはそういう意味だ。

ヤコブはユダヤ人(ヘブライ人)の祖先になったのである。

神とモーゼの出会い

モーゼが羊を連れて、神の山ホレブを登っていると、燃える茨の藪を見つける。炎が燃えているのに、茨はいっこうに焼け落ちない。不思議に思って近寄ったときに、神から声をかけられてエジプトに戻って同胞を救えと命令されることになる。映画にもそういうシーンが出てくる。

十の災い

・水を血に変えて飲めなくする
・蛙をいっぱい出す
・ぶよを放つ
・虻を放つ
・家畜の疫病
・腫れ物を生じさせる
・雹を降らせる
・イナゴの群れ
・エジプトを真っ暗にする
・長子皆殺し

これらははっきりと、神の奇跡としてエジプトを襲った超常現象として原作では表現されている。映画ではどう解釈しているか、ぜひ確認しよう。

最後の災厄である長子皆殺しを防ぐおまじないは、「過ぎ越しの祭」として今もユダヤ教の祭りとして行われている。神様がおまじないしている家は、災いが過ぎ越えていくから過ぎ越しなのだ。3月末から4月くらいにかけてのお祭だ。出エジプトの苦難を忘れないという意味がある。

アロン

モーゼの兄で、原作ではかなり活躍する重要な人物である。能弁でモーゼを助ける。口下手なモーゼの代わりに、ファラオの説得にいったり、魔法の杖(アロンの杖)を授けられて使ったりする。映画ではそんな大それた活躍はしない。残念だ。

ヨシュア

モーゼの亡くなった後を継いでリーダーになり、イスラエルの民を約束の地カナンに連れて行く。ヨシュアのカナン征服の物語は『ヨシュア記』で描かれている。そこから三国志みたいな軍記物語になっていく。「ウォール・オブ・ジェリコ」で知られるエリコの壁の話はここで出てくる。ありゃあ実は、ヨシュアの話なのだ。映画ではちょっとだけ出てくる。こいつが後継者なんだと分かれば良い。

十戒

・神が唯一の神である
・偶像崇拝の禁止
・神の名をみだりに唱えてはならない
・安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ(6日働いて土曜日が休み)
・あなたの父と母を敬え
・殺してはならない
・姦淫してはならない
・盗んではならない
・偽りの証言をしてはならない
・隣人の家を欲しがってはいけない(嫁、奴隷、家畜も)

このルールを神が二枚の石版に刻んで、モーセに渡した。それを神様の指示通りに作った契約の箱(失われた聖櫃<アーク>!)に収めた。モーセが十戒の石版を受け取ったというシナイ山は、実際にどこに存在するのかは、はっきりとわかってない。宗教家によって意見が割れている。もし本当のシナイ山なり契約の箱なりを見つけたら、世紀の大発見として歴史に残ると思う。リアル・インディー・ジョーンズと呼ばれるかもしれない。

旧約聖書は岩波書店の訳が最高なんだけど、現在のところ文庫で買えるのはこの三冊だけ。過去にはサムエル記なども出てたようなのだけど絶版になっている。聖書が絶版って凄すぎる。

映画の原作になったモーセが活躍する『出エジプト記』はちゃんと読めるので安心だ。アダムとエヴァの話や、カインとアベルや、ノアの方舟や、ソドムとゴモラや、バベルの塔などの有名な話は『創世記』で読める。『ヨブ記』はひたすら重い。重すぎる。

ヨシュアとか、ダビデとか、ソロモン王とかの話を読みたければ、高いハードカバーの本を求めなくてはならない。酷い。図書館で借りるなりして欲しい。

今回は『エクソダス:神と王』の特集号です。徹底的に語ります。ネタバレすらします。でも歴史物だからネタバレしてもいいよね!?

side:B
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