広島の知られざる郷土料理ホルモン天ぷらを食べてしまう話

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ホルモン天ぷらを求めて

「広島のある地域には、ホルモン天ぷらなるものがあるらしい」

そんな情報を得て、僕はJR西広島駅に降り立った。西広島なんて駅で降りるのは初めてだ。何がある駅なのか全く知らない。

とりあえず駅前はこんな感じである。駅前には路面電車の駅もあって、そこから路面電車で広島の中心部に行けるのは、横川駅なんかと同じである。路面電車は広島市民の重要な足になっているのだ。

そして、なんの気なしに駅前をキョロキョロしていると、おお~！？

石になったハカセ、モーちゃん、ハチベエ！！！？

西広島駅周辺はズッコケ三人組の舞台になった土地らしい。まったく知らんかった。

とりあえずすぐ近くのでっかい橋をわたって広島中心部の方へ向かう。この橋をわたった先のエリアにホルモン天ぷらの店が密集しているらしい！？

ホルモン天ぷらの店があるらしいエリアを探す。単なる住宅地のようなところなのでなかなか難しい。飲食店がちょっと固まったようなところもあるにはあるがホルモン天ぷらは無し。

横道にちょっと入ったところにそれはあった。

「天ぷら　たかま」

一見すれば、天ぷら屋さんかなと思うが、いかにも定食屋風のこの店で出してる天ぷらってどんなの？

それこそが広島市の隠れた名物ホルモン天ぷらを出すホルモン天ぷら専門店だったりする。こんなのネットの情報とか無かったら絶対にわからないよ！

まあ、普通の観光客が、近寄るような地域では全くないのは確か。単なる住宅地だし。

ホルモン天ぷらを試食する

瓶ビールを注文したら勝手に出てきたホルモン煮込み。てっちゃんなどの牛の内臓なのに全く臭みがなくて食べやすい！

これが問題のホルモン天ぷら。牛のてっちゃんや、ミノとかを、天ぷらにしている。煮込みと同様、よく処理されていて臭みなし。これを餃子のタレのような酢醤油につけて食べるのだ。普通に美味い天ぷらである。天ぷら屋と看板に出してるだけあって（？）野菜の天ぷらとかもあるにはある。注文が面倒だったら各種ホルモンに野菜天も混ぜた盛り合わせもやってくれる。どんな量になるのか知らんけど。

ホルモンというのは御存知の通り歯ごたえがあるので、ときおり衣からスッポ抜けて中身だけになったりする。まあ、讃岐うどんにつける、げそ天みたいなもんだ。

メニューには、ホルモンうどんというのもあって、うどん好きの僕からしたら絶対に外せないかと思われたが、デカイ皿に盛られたホルモン天ぷらと、かなりたっぷりめだったホルモン煮込みを食っているうちに腹がパンパンになってしまったので断念。なんてこった。

それにしても、ここの店に食べにきている皆さんはよく食う。山盛りのホルモン天ぷらを追加して、しめにホルモンうどん食ったりとか平気でする。酒も飲んでないのに。いや、昼間から飲んじゃっている人も半分くらいいたけど。

他にもこのような「良い面構え」のホルモン天ぷら屋があるのである。なんとも風格があるというか、「単なる家」感の強さというか、確実にこれから無くなっていく文化である。つくづくローカルのみで支持されているメニューなのだ。また腹の調子を整えて突撃してみたいものだ。

ホルモン天ぷらはうどんに始まってうどんに終わるという格言もある。ホルモンうどんを食えてないのは片手落ちだろう。また旅の心残りを作ってしまった。これでまた西広島に来る理由ができてしまった。

ホルモン天ぷらの店では、「せんじがら」もしくは「せんじ肉」と呼ばれる、豚ホルモンを油で揚げて塩味をつけたものを袋につめて売っている。これも広島名物なのだ。大阪でいうところの「油かす」みたいなものといえばおわかりだろうか。

この「せんじがら」。胃袋であるところの「がつ」が油で揚がっていてカリカリである。「がつ」はそのまま焼いたってすごく硬い。それをさらに揚げている。ビーフジャーキーの塊みたいなもんだと思っていただければイメージしやすいだろうか。一袋で800円もするけど、かなり楽しめるのは間違いない。ビールとかのおつまみとして最適。酒飲みへの広島のおみやげとしてはこれ以上のものはなかなか無い。

豚のホルモン以外では、馬ホルモンのやつも売られていた。そっちも美味そうだな。これも旅の心残りにしておく。