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『ベイマックス』を見て微妙な気持ちになった「稀有な人」向けの作品

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BH6
Wikipediaの「Big Hero 6」より。
ディズニーの新作アニメーション『ベイマックス』が好調のようだ。

元ネタの漫画版は、シルバー・サムライや、原爆ヒーローであるサンファイアが登場するし、ヒロは単なるのび太だし、ベイマックスにいたっては緑色の変な化け物だ。

かなりマイナーな漫画なので、アニメ映画版のようにキャラクターを愛らしく変えたのは大正解。

シルバー・サムライやサンファイアがX-MENのキャラとして20世紀フォックスに取られていたのも怪我の功名として良かったと思う。というか、正直な話、原作はなんだって良かったのだろうけど。それくらい内容が違うらしい。もちろん僕なんかはマンガ版なんか読んでいるはずもない。大半の人は読んでないはずだ。アメリカでも知っている人が少ないくらいなのだから。

さて、そんな『ベイマックス』だけど、よく出来たアニメーションではあるのだけど、ベイマックスはしょせんは普通のヒーローの範疇を出たりはしない。

それの、何があかんのか!?

と言われればあかんことは無いのだけど、中にはたまたま微妙な感情の中で見て「ベイマックスに何が出来るのか?」とか思ってしまう人もいる。

てっちゃん氏もその一人でありその心境はこちらの「ベイマックスの優しさで最貧困女子を救えるのか?」という記事に詳しい。

そこでもてラジでは、最貧困女子を救えそうなヒーローを幾人かチョイスしてみた。他にもいたら教えて欲しい。

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水木しげる『悪魔くん』

真っ先に思い出すのは水木しげるの悪魔くんだ。キリストや釈迦は奇形的天才であったとする。そして現代にも奇形的天才が現れるのではないかという所から物語が始まる。そして現代の日本(1960年代時の)にキリストや釈迦やマルクスに続く世の中を救う本当の意味での天才児が誕生する。それが松下一郎こと悪魔くんだ。

悪魔くんはずば抜けた知能によって、子供だてらに世界の魔術を研究し始める。そしてついに悪魔を呼び出す秘術を知ることになる。その悪魔の力を利用して、世の中すべての貧乏人を救済して、千年王国を築こうとする。もちろんそんなことを良しとしないのは日本政府やアメリカ政府である。悪魔くん自体はことさら政府と戦うつもりはないけれど、やはり命を狙われる。それでもって苦労して魔法陣で呼び出した悪魔というのは、ただのおっさん(それには裏があるのだけど)だったりして途方に暮れる。そして志半ばで警官隊の銃弾に倒れる。

オリジナルの貸本版『悪魔くん』は内容の難しさもあってあまり人気が出ずに打ち切りになったので、かなり唐突に悪魔くんが殺されてあっけなく終わる印象がある。しかし、かえってそこに独特の無常感やリアリティがあって名作になっている。

後の70年代にジャンプ誌において『悪魔くん千年王国』としてリメイクされる。こちらは基本設定は同じでも、もうちょっと長くなっていて、悪魔くんを助ける十二使徒が揃うし、呼び出された悪魔もそれなりに悪魔っぽい。なにより悪魔くんが本当に革命を目指して日本政府やアメリカ軍と戦ったりする!これはこれで面白いけどややマンガっぽくなったのは確かだ。そして結末はだいたい似たようなもので、結論としては貧乏人救済は先送りの事業となってしまう。

最貧困女子が救われるのには悪魔くんの復活を待たねばなるまい。

ちなみに、悪魔くんが毎回いろいろな悪魔と戦うといったゲゲゲの鬼太郎的な内容のマンガやアニメやドラマもあるけど、それはタイトルと基本設定だけ流用した全く別の作品である。そちらは悪魔くんの本名も別のものになっている。もちろんどれも水木しげるが描いているのだけど。

水木しげるの『コケカキイキイ』

死にかけた乞食老婆と、死にかけた老猫と、それにとりついていたノミと、捨てられた胎児。死にゆく4生物が合体して新たな生命体として誕生したのがコケカキイキイだ。この大胆な設定のヒーローは、徹底的に貧乏人の味方である。家賃を取り立てる大家を追い出し、金持ちも追い出し、空いた物件は障害者と貧乏人に開放する。適当なことをいう学者や、権威をかさにきて金儲けをする生花の先生や、邪魔をしてくる警察官や自衛隊などを食べてしまう。やがて超能力を全開にして、金持ちを駆逐し尽くし東京を貧乏人たちの暮らしやすい街に変えて、コケカキイキイは元の4つの死体に戻る。

こちらは悪魔くんが果たせなかった夢をあっさり達成してしまうヒーロー。さすが別次元の存在である。

人類救済したその後もしばらく連載が続いていろいろな妖怪と戦ったりする話があったけど、そちらでは貧乏人がどうなったのかは描かれていなくて、中途半端なゲゲゲの鬼太郎といった感じである。水木しげるマンガは結局はこうなってしまう運命なのか。でも一度は国を作り替えたのは確かだ。

とりあえず最貧困女子を救ってくれるヒーローがあるとしたら、コケカ神しかいないのは間違いない。

やなせたかし『アンパンマン』

御存知国民的なヒーロー。水木しげると同じく従軍経験のあるやなせたかしが、絶対の正義を考えた時に「お腹を満たしてくれる人が正義」と定義して作り出した。

アンパンマンなら最貧困女子にあんぱんを無限に恵んでくれるに違いないので、なんらかの事態の解決につながるはずだ。

アラン・ムーア『ウォッチメン』

一歩踏み込んだヒーローといえば『ウォッチメン』も外せない。こちらの作品には世の中を良くするためには悪の組織になることも辞さないヒーローが出てくる。たいていの作品では、「手段を選ばず社会を理想のものに作り替えてしまおう」とするヒーローというのは、悪の組織に堕した存在として「現状維持を旨とするヒーロー」側に打倒されてしまうものだ。しかし、この作品ではそんな結末にはならない。最小限の犠牲をもって多数を救う決断を下したヒーローと、さしたる問題解決のビジョンも無いままに、ただ闇雲にそれを阻止しようとしたヒーロー。どちらが本当のヒーローといえるのか。重いテーマである。

この『ウォッチメン』に登場したオジマンディアス(社会を変貌させることを望んだヒーロー)が、最貧困女子を救うかどうかは微妙なところだ。場合によっては多数を救うために切り捨てられるのは少数の最貧困女子だったりするのかもしれない。そうなったら暗い。しかし何もしないヒーローよりは救われる可能性はあるのか。わからない。しかし切り込んでいる作品ではあると思う。せっかくなので『ウォッチメン』の映画版でも見て、一緒に悩んでもらいたい。

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