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爆走兄弟レッツ&ゴーの大人げない復活とコロコロ系まんがの難しさ

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爆走兄弟レッツ&ゴーの大人げない復活とコロコロ系まんがの難しさ

今は『爆走兄弟レッツ&ゴーRR』は中学生編をずっとやっておりかなり面白いです。この記事はコロアニ連載一回目の感想であることを考慮してください。それにしても連載頻度をせめて月1にしてくれるか、単行本描き下ろしとかにはならないものか…。


表紙は昔の画を使い回し!?

これが30歳になった烈と豪。普通にかっこいいやん!?で、左のちっさいのが、豪の息子とされる翼。その名前はちょっと…。

これが30歳になった烈と豪。普通にかっこいいやん!?
で、左のちっさいのが、豪の息子とされる翼。その名前はちょっと…。

10月に創刊された大人向けコロコロコミック『コロコロアニキ』の目玉はなんといっても『爆走兄弟レッツ&ゴー』の続編漫画の掲載である。30過ぎた大人になった烈と豪の話であると聞いたら読まずにはいられない。どんな話なんや。というわけで、発売してすぐに読んだ。

コチラのラジオでも感想をたっぷりと話しています。

こしたてつひろ先生の絵柄の変化(ずいぶんとあっさり風味になった)は抜きにすると悪くないマンガだと思ったんだけど、知っている前作ファンの女子からはボロカス。意外と腐女子からは受けが悪いのだろうか!?ちなみに表紙の画は全盛期のこしたてつひろの絵柄なので注意。現在はかなり変化している。そのへんも違和感を与えてしまった原因か。まったく絵柄がちがう『イナズマイレブン』のマンガまで引き受けたりして、児童漫画の流行の変化に食らいついてきたこしたてつひろ先生の苦労を思うと、安易に叩いたりする気にはなれないのだが、いささか感傷的すぎるのだろうか。

現在「20年ほどまえにミニ四駆にハマってた大人がミニ四駆を再び始めるというブーム」がきてるようなので、それに合わせて当時の流行をひっぱった本作も復活したという事だろう。だから主人公たちも、当時の子どもたちの成長にあわせて歳をとっているし、ストーリーもミニ四駆リバイバルに合わせたものになっている。

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主人公のひとりの星馬豪は遅咲きのF1レーサーとして売り出し中だ。てっきり大人になってもミニ四駆をやっている設定かとおもいきや、なんとF1まで登りつめていた。かっこいい。そしてスポンサーはなんとタミヤ。バカにするなかれ。ミニ四駆で世界征服を企む悪の組織がいるほどミニ四駆が普及した世界観なので、タミヤがF1のスポンサーをやってたっておかしくないのだ。この世界ではミニ四駆ブームの終焉なんて無かったはずである。

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そんで、豪の元に子供がひょっこり現れる。元レースクイーンの女が「あんたにそっくりだから預かって」と押し付けられたのだ。あの豪がレースクイーンに中だし。しかも名前も思い出せない女。ということはアチコチでやんちゃをしているのだろう。「子供の頃からやんちゃだった豪らしいや」と思うのだけど、一部の腐女子からは大ブーイング!?

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そんな豪だけど、F1の方ではイマイチ成績を残せないで腐っている。で、日頃からビール飲みまくって荒れている。この辺りも今や30近辺になったおっさん読者には共感を呼ぶ設定だ。でも腐女子は嫌だということだ。酒はウケが悪い!?

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だけど押し付けられた子供のミニ四駆レースで、劣勢でも決して諦めない息子の姿勢に感化されてかつての情熱が再燃!F1のパーツまで使った大人げない改造を施して新マシンを完成させる!今のミニ四駆ブームも、子供をダシに使った親が、大金と技術を投入して改造しまくった大人げないマシンで戦うというのが主流なようなので、うまいこと漫画に反映させたものである。

そんでもって、最後はミニ四駆をいじることで久々に情熱を取り戻した豪が、本職のF1でもかっ飛ばして「俺達の戦いはこれからだぜ!」といって終わりという。まるでここで打ち切りみたいだけど次号以降もちゃんと続くそうである。もうひとりの主人公である烈兄貴はどうしてたかっていうと、単に「出ていただけ」であって、ネクタイ締めてたから普通のサラリーマン(この時点の第一話ではわからなかったけど後に人工衛星の研究者だと判明する!)とかなのだろうけど、とにかく存在が薄かった。きっと次回以降はストーリーが語られると思われる、と信じたい。真面目系クズのネット民が期待していたような、ひきこもりニートでは無くて良かった。「大人になった烈も、普通にかっこよいおっさんになってて良かった」と僕がいうと、一緒に読んでいた某腐女子は「こんな烈は見たくなかった」ということらしい。何があかんのや!

この続編のレッツ&ゴーのアニメ化とかされないかなあと期待しているが、なにしろ次の掲載のあるコロコロアニキの発売が来年の3月ごろらしいので、人気のリサーチも難しいかもしれない。気の長い話である。

ところで『爆走兄弟レッツ&ゴー』という作品、アニメ版のと、こしたてつひろの漫画版ではかなり物語が違うというのは御存知だろうか。もともと月刊連載の漫画を毎週放送のアニメにするのだから無理がある。どうしたってオリジナル展開にせざるを得ない。90年代後半のミニ四駆ブームの牽引役としてなかなか人気のある作品だったけど、アニメの3年めくらいで、完全にアニメ主導の展開になってしまい急速に人気がしぼんでしまった。原作者のクリエイティビティを活かせないのだからしょうがない。せめて原作者にアニメ版のストーリーの依頼などを出来ればよかったのかもしれないけど、そこまで関わる作家はあまりいないし、それを依頼するアニメスタジオも少ない。コロコロ系の月刊作品の幼年向け漫画のアニメ化が短命に終わってしまう理由がそれだ。アニメと漫画のサイクルが合わないのだ。


アニメと漫画ではかなり違う…。

コロコロコミックの創刊のきっかけになった『ドラえもん』なんて、学年誌でストックをたくさん貯めた状態からアニメがスタートしたからこそ、長く続けられたというのもある。

詳しく説明すると、1969年の連載開始から、最初のアニメ化は1973年だから、4年くらいの余裕があった。しかも最初のアニメ版は24回の予定でスタートしたのでほとんど原作のエピソードでアニメを制作できた。二回目のアニメ化は1979年なので、さらにエピソードがたまっていたし、前回に使ったストーリーも再利用可能な状態。それでも最後の方はエピソードが尽きてかなり苦しい状況ではあったけど(正直いって、この時期のドラえもんは見てられなかった)、2005年に声優を一新して仕切り直ししているので、再び原作のエピソードが利用可能になった。

最初からずっと人気が保障されてたかに見える『ドラえもん』長期政権にも、実は様々な工夫や、幸運が重なっているのがわかる。普通は月刊漫画が人気作品として長期政権をとるのはほとんど不可能に近い。だからみんな週刊連載に向かってしまうのだ。(『進撃の巨人』なんかは講談社の戦略も噛み合って本当にすごいことをやってのけた)

では、どうすれば原作のストックを貯めることが難しい児童漫画が成功するのか?

ひいてはコロコロマンガが成功するのか?

なかなか難しい問題だ。

3つほど考えたのでコロコロ編集部は参考にして欲しい。

1.やなせたかしの『アンパンマン』みたいに原作者みずからがアニメと心中する。やなせたかしは毎週アニメスタジオに通ってアイデアを提供したり監修したりした。手塚治虫かて『鉄腕アトム』を強引に自分で制作してしまったくらいだし、これくらいしなきゃどうにもならんかもしれん。

2.偶然アニメスタッフやブームに恵まれる。これは論外か。

3.アニメ化なんかしない!アニメが沈没すると、原作まで巻き添えで沈没させられるパターンは古来から多かった。前述の『ドラえもん』にしたって最初のアニメが終わった余波で打ち切りをくらいかけた。ドラがその時点で打ち切られていたら歴史が変わったと思われる。コロコロアニキなんかなかっただろう。だからこそ安易なアニメ化などせず、手堅くストックがたまるまで我慢……。しているうちにマンガの人気がなくなり打ち切られたりするのが玉に瑕。玩具やゲームなどとの企画ものの場合、アニメ化を断るとか不可能だろうけど。

そもそも玩具やゲームのブームが終わったら、マンガの人気とかクオリティとか無関係に終わらされるって、今どき理不尽だと思うが、そこはなんとかならんのだろうか。ある程度の年齢になれば卒業してしまう事を前提にした児童漫画としての宿命か。しかしコロコロアニキみたいに、大人向け児童漫画というおかしなジャンルも出てきたので、これから様々な可能性が考えられる。とっくに販売停止になった玩具のマンガの続編を掲載してみるとか。でもそれは単なる懐古マンガであって、もはや児童漫画じゃないだろというつっこみを入れられそうだが。「玩具とのタイアップ」に縛られ続ける限り難しいかも。