『ハイスコアガール』にSNKプレイモアがキビシイ理由
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押切蓮介の人気漫画『ハイスコアガール』が全巻回収ということらしい。電子書籍も削除。おどろいた。個人的には1巻以降の話には興味をなくしてしまったけど、人気漫画であるしアニメ化も控えているし、今後もしつこく続いていくと思っていた。もちろん連載が停止したとかではないが単行本全巻回収は尋常ではない。
単行本回収の理由は漫画内に登場する『キング・オブ・ファイターズ』や『サムライスピリッツ』など旧SNK社のゲームキャラを無断で使用していたことにたいして、現権利者のSNKプレイモア社からクレームがついたことによる。
『ハイスコアガール』はストリートファイターなどが全盛だった90年代のゲーセンを舞台にしたラブ・コメ漫画だ。そうであれば、ストリートファイターで有名なカプコンと並び、当時から大人気だったSNKの一連のゲームの描写は絶対に外せないところだ。
単行本の巻末には各ゲームメーカーの著作権一覧の表示があったが、実はSNKプレイモアには一切の連絡がいっていなかったようだ。それが、アニメ化に際して制作会社から連絡がはいって発覚した。アニメと漫画では権利関係が違うので別個に対応することになる。原作漫画でOKだったキャラクターや名前が、アニメではベツモノに変更されていたりということがままあるが、そういうのは権利が違うことによるのだ。
しかし今回はもっとキツイ。アニメの内容変更どころか、原作漫画そのものの販売差し止めを要求されたうえに、告訴されてしまったのだから。
そもそも『ハイスコアガール』を発行しているのはスクウェア・エニックス。ファイナルファンタジーとかドラクエの大手ゲームメーカー。それがライバル会社ともいえる他者ゲームメーカーのキャラクターたちを、漫画内で無断で使用しているんだから必要以上に恨まれても仕方がないが、ニュースの続報により、もっと根が深い事情が見えてきた。
「ハイスコアガール」問題、カプコン・ナムコ・セガはキャラクター使用を許諾済み
そりゃそうだろうと思う。スクウェア・エニックスは、『ハイスコアガール』とカプコンやナムコやセガのキャラクターとのコラボレーションのグッズ販売などを行っている。さすがにそれらを無断で販売するほどの根性は無い。あったら凄かったが。とにかく、しっかりと、たしかに、著作権表示にあったように、これらのメーカーのキャラは漫画に使用する権利を得ていたというわけだ。
ということはSNKプレイモアだけがハブられていたのか!?
それか、いくつかのメーカーがハブられていて、その中にSNKプレイモアがあっただけということもある。そうだとしたら、他にどこがハブられていたのか気になるが、それは今後に続報があるかもしれない。ないかもしれない。
スクウェア・エニックスにしてみれば、カプコンやナムコやセガは現行バリバリの大手ゲームメーカーだけど(ただし、ほぼ当時のままなのはカプコンだけで、あとの両社はそれぞれバンダイナムコゲームス、セガサミーになっているけど。そもそもスクウェア・エニックス自体が合併会社だけど。)、当時のゲームを作っていたSNKというのはとっくに消滅していて、SNKプレイモアというところが昔の権利を管理しているだけであり、取るに足らない存在であると認識していたのかもしれない。
実に正しい。
正しいというのは、SNKプレイモアが権利管理会社であるというところだ。そもそもプレイモアという版権管理会社が、系列会社のSNKの版権を買い取って発足したのが現在のSNKプレイモアなのだ。もういちどいうけど、版権管理会社なのだ。専門家なのだ。
SNKの倒産に先立ってアルぜ(現ユニバーサルエンターテインメント。どこもかしこもころころ社名が変わってしょうがない。1980年代にユニバーサルという社名でアーケードゲームの『Mr.DO!』を作っていたあそこだ!)というパチンコメーカーがSNKを子会社化していたことがあったが、最終的に作品の権利を落札したのはプレイモアだった。その後もSNKキャラをパチスロなどに不法使用続けるアルゼとバチバチに裁判を繰り広げて、最終的に4億で和解するも、今現在も非常に仲が悪い。
とにかくSNKプレイモアは、そういった経緯もあり、ややこしい版権を手に入れて管理してきた会社なので、ものすごい気が立っているところもあるし、敵に回してこれほどやっかいなところもないのだ。スクウェア・エニックスは軽い気持ちで、えらいところを敵に回してしまったといえよう。
アニメ化が中止なんてことになったら、とんでもない違約金が発生するということにもなりかねないので、スクウェア・エニックスも、どこかで落とし所を見つけるとは思う。
ドラクエとかのソシャゲーでアコギに稼いで好決算に湧くスクエニであるので、少々の出費は覚悟しても良いんんじゃなかろうか。
とすると、他に連絡がいっていなかったメーカーが食いついてきたりして。データイースト(の権利者)とか、ニチブツ(の権利者)とか、そのあたりがハブられ仲間だったりしたら面白いかもしれない。ハドソンはコナミが権利者なのでハブられてないかな。いずれにしてもSNKプレイモアほどウルサイところは無いかとも思う。しらんけど。
その後の報道で、セガについても事後承諾でスゴく怒ったが結局許したというのが発覚した。とすると他のメーカーにはほとんどそういうなあなあな態度だったのがわかる。商業的コラボの可能性のあるバンナムやカプコンには真っ先に声をかけたが、その他は出してやるだけでもありがたいと思えという態度だったのだろう。(本来はマンガに登場するだけで既に商業的コラボなんだけど…)
スクエニも近年はお家騒動もあり、分割もウワサされているくらいイイカゲンな経営になってきているようだが、かわいそうのはこの適当な経営のとばっちりをくった作者である。
ちなみに、SNKプレイモアは権利管理するだけではなくて、今も元気にゲームの制作をやっております。とはいっても、餓狼 マーク・オブ・ザ・ウルブズの続編は出ないだろうけど…。
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